建築のリユースをリフォームではなく、リファインという概念でつくっているところにコンセプトとしての新しさがある。設計者は、新しく建てるよりもリファインで安くしかもより快適で美しく生まれかわることを主張して、建築主(主に自治体)を説得している。緒方町役場のあとに宇目町役場、野津原町多世代交流プラザなどがあり、その後も実績を重ねている。スクラップアンドビルドが許されない今日、リファインすることは、サステイナブル建築の一つの方向である。建築のストック化が進むことによって、新築が減ることはすでに自明となっており、リファインするための新たな設計技術が重要となっている。
緒方町役場は、公共建築としてきわめて限られた工事費でリファインされている。そのせいか、空間やディテールは簡素に仕上がっている。建築の"ダイエット化"がこの設計者の主張とも受取れた。
(林・田辺) |