人口720人の山村の役場、公民館・集会施設、診療所付老人施設の複合施設。
3つの施設が道路に面した北向きの広場を囲んでU字型に配置され、有機的に連携されている。それぞれ広場に面した部分には吹き抜け空間が設けられ、開放的でゆったりした空間が形成されている。このような大きな余裕のある室内空間は、雪に閉ざされがちな冬に特に有効であるが、さらに芝生の植えられた広場との間には緩衝空間としてのきめ細かな配慮がされ、四季を通じて人と自然との交感を可能にしている。
このような大空間の居住性を維持するために、建物の断熱性・気密性が確保され、あわせて床暖房が導入され、省エネルギー上も有効であると報告されている。細かな点だが3つの施設をむすぶ屋外通路のRC部分が熱橋となる危惧が残る。
谷の北側斜面という地形を意識した建物の高さとボリューム配置は、周辺環境と一体化し、溶け込んだような印象をあたえるのに成功している。
山村振興のため、村を挙げて自然環境を生かした村の活性化事業が進められている。
設計者はこのレベルでも積極的に参画し、この意味での環境保全への息の長い貢献も評価される。
(小玉)
サステイナブルな建築の条件として、時間とともに愛着がわき、その建築をめぐって作り手と使い手の意気のあった関係が不可欠である。浪合フォーラムは、そうした関係性を作り出している。
(林) |