この住宅は韮崎から車で20分ほどの標高400mの見晴らしのよい高台にたっている。
長年にわたる設計者のパッシブ建築の考え方がよく集約された作品である。
建主は、ここから横浜へ通勤するコンピュータ系の仕事にかかわるエンジニアと主婦および幼児(2人)である。家族は自然の豊かなここでの暮らしを満喫している。この住宅はひとことで言えば、低レベルエネルギーを活用したハイブリッド・ローコスト住宅である。
この住宅には、さまざまな工夫が凝らされている。
1.低レベルエネルギーの回収・循環(棟ダクト、垂直ダクト)
2.アースコンタクト(地熱の利用)
3.自然採光、自然換気、直射日光
などがあり、景観をとり入れたくの字型の家の配置、広々とした内部空間を、単純な構造計画と、ほとんどの工事を大工工事とし家族も参加するセルフビルドによって低コストで実現している。快適な生活空間をローテクで実現していることや、建築主、設計者、施工者のチームワークの良さも評価された。内装がほとんどラワンベニア(熱帯材)で貼られているのが、低コストとはいえ、環境建築としては惜しまれる材料の選定である。
(林)
|