竣工後5年を経た「東京ガスアースポート」は、環境親和型建築の先導的なモデルとしてすでに多くの注目を集めている建築である。
建築のライフサイクルを通して、省エネルギー設計に取り組み、竣工後もエネルギー消費のモニタリング、オフィスビルとしての使用上のケアなど利用者と設計者との関係も親密である。「環境に与える影響が少なく、長い期間快適に使えるオフィス」の計画はほぼ実現されている。「エコロジカルコア」と呼ばれる北側に設けられた吹抜空間は、自然採光、自然通風のためばかりでなく、利用者のリフレッシュの場としても活かされ、外観を特徴づけている。オフィス空間には、細心の配慮がされ、両面採光とそれを効果的にしているライトシェルフ、外光照度による自動調光、光ダクトなど様々な試みがある。このほか雨水、中水利用も行なっている。
特筆すべきは、BEMS(Building Environment Management System)をとりいれ、エネルギー消費のデータを収集・解析していることであり、このシステムはこれからのビル管理上、不可欠ともいえるものであり、その汎用化が望まれている。合わせて「アースポート」で採用された環境共生建築の設計手法とその成果のオープン化が期待される。 |