第2回JIA環境建築賞は、最優秀賞として「神戸税関本関」、優秀賞として「東京ガスアースポート」が選ばれた。
今回は、昨年(第1回)と較べて応募作品数がきわめて少なく、住宅部門が6作品、一般建築部門が8作品だった。(因みに昨年は、住宅部門が10作品、一般建築部門が28作品)そして今回は、応募数が少なかったばかりか、心を打つような建築作品が少なかったのが悔やまれる。しかし、環境建築の模索がいろいろな角度からなされており、多様な建築像となっていることを改めて感じさせられた。昨年の最優秀賞が民家再生を創造的に行なったことが顕彰されたこともあってか、再生をテーマとする作品の応募が目についた。それらの真摯な取り組みは評価されるものの、建築作品としての完成度において、説得力に欠けるものだった。そのほか、長寿命化への取り組み、省エネ化、省資源化、修復、子供のための建築など環境建築の多様な方向性を示すものだった。
審査は昨年と同様、JIA環境行動計画及びサステイナブル・デザインガイドに示された指針にそっていることが要件であり、第一次審査は書類により、第二次審査は設計者立会いのもとに現地で行なわれた。そして、最終審査は、現地審査にもとづき、協議によって行なわれた。今回、書類審査をパスしたのは僅か2作品であり、いずれも(株)日建設計によるものだった。これらは建築作品として異なる傾向を示すものであるか、環境共生型建築の実現に向かって、さまざまな試みがなされ、設計密度、完成度において、甲乙つけ難いものだった。しかし、現地審査をへて「神戸税関 本関」が審査員一同の合意を得て、最優秀賞となった。この結果は、過去の建築遺産を尊重し、採光や通風、水の活用などを通して環境建築の課題を無理無く解決し、品格のある建築を実現した「神戸税関 本関」が高く評価されたということである。
今後のこと
JIA環境建築賞のこれからのことについて考えてみたいと思う。昨年、建築界では建築関連の主要な5団体が協議して、「地球環境・建築憲章」を制定し、いま、その具体的活動がせまられている。JIAとして何ができるかを考える時「JIA環境建築賞」を通じての啓蒙、普及活動の実践が会員のみならず社会貢献の可能性が大きいと思う。そのことを念頭においていくつかの改善策を以下に記したいと思う。
1.広報を活発に行なう。(応募作品が少ないことはこの賞の認知度が低いということである。JIANEWSのみならず、建築関連の諸雑誌のほか一般誌にまでひろげるようにしたい)
2.入賞作品の見学会、巡回展、入賞者説明会などを企画し、環境部会の地域活動とつなぐ。
3.応募方法の再検討(誰もが応募できること他薦を活発化し、応募作品の掘り起こしに努める)
4.応募規定について(実測シートの添付が明記されているが、このことにこだわらず、環境負荷低減の効果を示す何らかの資料、例えば、光熱費に関するデータ、リユース、リサイクルの内容など…ゆるやかなものとする。)
第3回環境建築賞の実施にあたっては、JIA会員の意見を集約して改善策を打ち出す必要のあることを痛感している。 (文責 林 昭男) |