JIA 2050年カーボンニュートラルへの提言|2023
募集要項 解説
「2050CNへの提言|2023」募集実行チーム事務局 山下 博満
①応募資格の考え方
● 未入会の方が持つ知見も歓迎します
JIAとして、ひとかたまりの集団的知性を形成することを目指す取り組みであるため、JIA会員になっていない方が名を連ねる形の応募を受け付けることは、今回の趣旨にふさわしくないものと考えました。
未入会の方にも入会申込みとともに応募いただけるよう、入会承認までのプロセスについては検討中ですが、「ぜひ、提言をこの方からいただきたい」とお心当たりがあれば、ぜひとも広くお声がけいただければ幸いです。
未入会のまま協働された方や協力いただいた方の知見については、むしろ積極的に提言の中で表現いただければ、2050CNに向けて必要となる関係の拡がりを共有することができるものと思います。
● 会員の集合体による応募も歓迎します
今回の応募にあたって、個人ばかりでなく、複数名の会員が集まり、連名で提言いただくことや、集まりの名称を書き添えていただくこともできるように、提出フォームを検討しています。
意見を同じくするグループからの応募も、各支部や地域会、各委員会や全国会議など、JIA内部の組織からの応募も歓迎します。
● 法人が持つ知見は会員の提言に盛り込んでください
今回は基本的に建築家であるJIA会員の皆さまからの提言を集めるものであるため、法人協力会員や、JIA会員が代表者の法人による応募は、趣旨にそぐわないと考えています。
もちろん、建築士事務所や建築関連団体や建築関連企業など法人格の提言については、2050CN実現への貢献度からも、建築家が参照すべき提言としても、大変貴重なものであり、その価値を否定するものではありません。
各法人の知見が、会員からの提言に盛り込まれたり参照されたりすることでこそ、JIAの集団的知性を育むことができるはずです。
② 今回募集する提言の位置づけ
● 提言は進化するはずだし追加もできます
委員長のメッセージにもあるように、まず現時点での知見を集めて公開し共有するところから、2050CNに向けてのさらなる議論が起き、当初の提言から進化したり、応募のなかった会員から新たな知見が提言されたりすることが期待されています。
そのような動的状態をタイムリーに共有できるプラットフォームを検討しています。
建築家の集団として、自分たちの2050CNへの方向性を幅広く保つためにも、有意義な議論を起こすためにも、多くの会員による、さまざまな視点からの提言が集まることが出発点となります。
ぜひとも会員間でお誘いあわせのうえ、多彩な提言をお寄せください。
③『建築家マニフェスト集日本版2022』との関係
●「UIAマニフェスト・リレー2023」の問いから2050CNへ
今年5月に発刊された『建築家マニフェスト集日本版2022』は、「UIAマニフェスト・リレー2023」に先んじて、JIA会員のマニフェストを集めて一覧しようという試みでした。
その時の「建築は社会や環境の変化にどのように貢献できるか」というタイトルは建築の貢献可能性を問うものでした。
2050CNは、もちろんその貢献可能性に大きな位置を占める目標で、マニフェストのテーマとしても、「1 : 気候に適応するためのデザイン」「2 : 資源について再考するためのデザイン」は、カーボンニュートラルに直結し、これらに該当する提案が多く寄せられていました。
今回のテーマである2050CNは、社会的には貢献というよりも義務に近いニュアンスに変わりつつあるところですが、『建築家マニフェスト集日本版2022』にご応募されたものと同じ内容を今回の提言としていただいても構いません。あるいは、1年経って一部更新しようという方もいらっしゃるかもしれません。
2050CNならば私にも策がある、こういう観点からの行動も必要ではないか、まだ実績はないがこのように計画している、など、多くの方々からのご提言をお待ちしております。
● あなたの「2050 CNへの提言|2023」はManifestoかもしれない
会員それぞれの知見、技術と検証、実践、実績、続けておられる研究や培ってこられた今のお考えを、提言としてご応募いただきますが、個々の提言は、先の『建築家マニフェスト集日本版2022』に掲載されたものと同様に、建築家の意思表明・声明・宣言になっていることが予想されます。
冊子化の際には、英文名に ʻManifestoʼ を使う可能性があることをご承知おきいただければ幸いです。
④ 提言の属性分類
● 2050CNへの知見を理解するために
集まる提言は、個々の建築家が置かれた状況で、多岐にわたる分野における、多岐にわたる切り口でのアイディアが盛り込まれることになるでしょう。
多くの提言を公開・共有するにあたっては、閲覧して理解する助けとするために、各提言を同一方向のテーマや傾向の束にまとめていくこともあるかもしれません。
ただし、あらかじめ予想される属性分類をお示しするのではなく、あくまでも集まったものから幾つかの属性に束ねる作業を始めたいと考えています。
●あり得る分類をあえて示さない
具体的にはたとえば、2050年に二酸化炭素排出ゼロに至る過程の節目節目で目指すべき数字を明らかにしようという試みもあるかもしれません。逆に、数値を使わずに、二酸化炭素排出ゼロにいたるためのロジックを展開する方法もあり得ます。
また、断熱や通風や日射制御など建築意匠系の技術も、躯体の素材や数量に関する建築構造系の技術も、空調や発電など建築設備系の技術も、2050CNに貢献しうる要素です。
目標自体がゼロという数値である限りは数字に基づく目標は必要ですし、建築でのCNなのだから各専門分野にまたがって矛盾しない方法論である必要はありますが、現時点で全員がそこに到達していなければならないわけではないと考えます。
言い方を変えれば、数字系/論理系、意匠系/構造系/設備系、などは当然あり得る分類だとしても、従来の建築領域の外にまたがる複合的提言なども予想される中、予断に基づく枠組みを設定することはしないでおこう、というのが今のところのスタンスです。
⑤ プラットフォームの運用方法
● リアルな冊子とWeb内の場
冊子は、好きな場所で手に取ってめくりながら、次の策を練ることができます。対面で話しながら手渡すこともできます。しかし、応募締切り時点の情報に固定化されており、「精度を上げながら世代を超えてリレーされ」ていこうと目論まれている動的な活動にとっては、それを開始するきっかけにしかなり得ません。
一方で、Web内に構築しようとしている意見交換の場は、最初の提言群が、まさにその場の中で「精度を上げながら世代を超えてリレーされ」、最終的には動的平衡とも言いうる状態に到達するのが理想だと思っています。
● 皆さまから利用方法のアイディアをください
現在、公開・共有・議論・更新の場としてのプラットフォームには、以下のような基本機能を備えることを考えています。
a. 全会員が、集まった提言すべてを参照できるように公開する
b. 公開後、新提言の追加、既存提言の更新が可能で、更新履歴が残る
c. 全会員が、どの提言に対しても、コメントを投稿できる
d. 1つのコメントに続けて、他の会員もスレッド状にコメントできる
e. サイト全体を、任意のテキストで検索できる
これらの機能が実現できるかどうかは未知数ですし、あまり複雑なシステムを作る予算もありませんが、上記以外の使い方や運用方法のアイディアをお持ちの方は、ぜひとも別途ご連絡ください。