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作品名 | 設計者 | 事務所名 |
若葉台の家 | 岡田 哲史/陶器 浩一 | 千葉大学大学院/滋賀県立大学 |
HOJO | 米田 明 | 一級建築士事務所アーキテクトン |
アトリエ・ビスクドール | 前田 圭介 | UID 一級建築士事務所 |
House C -地層の家- | 中村 拓志 | NAP建築設計事務所 |
house K | 宮 晶子 | STUDIO 2A |
講評:吉松 秀樹 新人賞は人を選ぶ賞であることを、何度となく実感する選考だった。 67の応募作品の多くは住宅で、世代的には30台後半から40台後半に集中している。現地審査へ進んだ5作品は、 どれもが優れた構想力と技術力に支えられた建築的思考が積み重ねられた住宅であり、審査を終える度にじっくりと考えさせられた。 最終選考では全作品に票が割れ、評価軸について議論が重ねられた。「若葉台の家(岡田哲史・陶器浩一)」の構造のダイナミズムと総合力、 「HOJO(米田明)」のプログラムへの解決方法と革新性、「アトリエ・ビスクドール(前田圭介)」の完成度とスケール感、 「House C 地層の家(中村拓志)」の建築へのスタンスと時代性、「house K(宮晶子)」の形式の強さと建築のあり方、などが高く評価された。 特に前田さんの「アトリエ・ビスクドール」は、都市空間と建築空間の混ぜ方に新鮮な驚きがあり、構造やディテールも緻密で、最後まで賞を争った。 結果を分けたのは、作品の完成度ではなく、建築へのスタンスであったように思う。 受賞した宮さんの「house K」は、従来の住宅を解体し、建築計画を飛び越えるような力強い素形としての建築である。 応募時のミニマルなデザインとアジア的な住まい方とのギャップに議論が集中したが、結果を予測した住まい方の提案ではなく、 懐が深く強度の高い形式の提案であり、建築家のありかたをも考えさせてくれる点を高く評価したい。 中村さんの「地層の家」は、審査で最も考えさせられた作品のひとつだった。海に面して建つのびやかな週末住居は、 一見拍子抜けするほど素直な解答であるが、設計は緻密に練られており、いわば計算された隙がある。 部分へのこだわりから結果的に建築を導き出していこうとする、やや距離のある建築へのスタンスに、新しい建築の作り方を感じさせた点が印象深かった。 受賞した2人の、これからの建築界を率いていくような活躍を心から期待したい。 |