日本建築家大賞

2009年度 日本建築家協会賞

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国際教養大学図書館棟

設計者: 仙田 満 (株)環境デザイン研究所
茂木 聡 (株)コスモス設計
国際教養大学図書館棟 外観
 
国際教養大学図書館棟 内部
 

仙田 満

仙田 満

茂木 聡
茂木 聡

「キャンパスリング」
国際教養大学は、閑静で豊かな森林に囲まれた秋田市の南に位置している。平成16年に開学以来、英語による講義を行う独自のカリキュラムを展開しており、当学のキャンパス整備計画の一環として図書館・講義棟は計画された。自由でのびやかなキャンパスイメージを残しつつ、秋田杉を用いた大学の新しい象徴となる施設が求められた。グランドデザインとして、メインアプローチの両側にできるだけ大きな緑地を残すように建物を配置し、アプローチに沿って隣地の杉林への視界が抜けるように留意した。

 

学習意欲を喚起する「ブック・コロシアム」
国際教養大学図書館棟は24時間開かれている学生達の学習生活の拠点である。学習意欲を喚起する空間を、私達が長年研究してきたこども達のあそびを喚起する空間の原則、遊環構造を適応することによって実現しようとした。
本を読み、学習に疲れると緑の景観が気持ちを和らげてくれる、そのような本と人と緑の関係が半円形の段状の「ブック・コロシアム」という空間構成と、それを覆う大きな傘状の木の空間「グレートホール」としてつくりあげた。
従来のフラットな図書館ではなく、本を読む場所とその空間を多様に選択できる。気もちが晴れやかな時には展望的な場所に、少しこもりぎみな時は段状の裏側の空間に居場所を見つけることができる。
階段状の本棚と一体的になったテーブルから視線を上げれば、多くの本に囲まれた喜びを感じる。ここでは、全体に半円形の動線の中に多様な空間が埋め込まれている。本を検索する楽しさが空間を探索する期待となるよう、本と空間との関係を提案している。学習意欲を喚起する意図は、多くの学生と教員に利用されることによって証明されている。