外周約183m、内周約108mの大きな楕円形をした560人の子ども達のための幼稚園。既存樹木ケヤキ3本(2本25m、1本15m)が建築を貫いている。建築空間全てを子供のスケールにすることを心がけた。平屋建で中庭側の天井高を2.1mに抑え、屋根の上と下が非常に近い関係になっている。保育室同士は子どもが持ち運べる大きさ・重さの家具を積み、ゆるやかに区分されている。楕円形の屋根の上は行き止まりが無い永遠の追いかけっこが繰り広げられる。
私達が画策したのは「時代の最後尾」である。そこは我々が現在置き忘れた「喜び」の宝庫である。現在の便利さは子どもの間隔を奪う。この建築を通して伝えたいことは「あたりまえ」であることである。時代を超えても変わらない人間社会共通の価値観である。
何十年経ってもこの幼稚園には元気に走り回る子ども達の笑顔が溢れている。今と同じでいてくれればいいと思う。 |