神戸市灘区の六甲山麓に位置し、神戸港を臨む緑風豊かな周辺環境に建つ住宅である。ほとんど斜面で平地が少ない敷地であるが、地なりに、地下一階の床面積を抑え、1階から2階へと床面積を大きくすることで、地生の植物に配慮している。
　そして軽快で開放的な造形を特徴付けている筒状フレーム（東西に閉じ、南北に解放された）を上下南北に積層・連結することで複雑で面白い空間を獲得すると共に、眺望側の筒状フレーム(プリーズソレイユ)によって、東西の隣家からの視線をカットしてプライバシーを確保し、眺望を取り込んで良質な室内空間を生み出している。更に、室内への光をコントロールし裏山の森からの冷涼な通気を確保するなど、困難な敷地条件の克服に意欲的に取組んだ作品である。