都会から程良い距離にあり、かつ里山暮らしを満喫できる住宅が、ある意味現代の理想郷なのかもしれない。これは4軒長屋と住民が共同使用できる住戸と同サイズのコモンスペースを有する木造２階建共同住宅である。
　まずは敷地条件が素晴らしく、敷地南は大きく広がり、東側と北側は深い森になっており、冬季は冷たい北西風を防ぎ、夏季は北側林のクールスポットを室内へ導入できるよう工夫されている。建築は、和小屋組の伝統的構法でつくられた。熱容量を活かした土壁は、住民とボランテイアによる竹小舞の下地から土壁の左官まで住民が住まいづくりに積極的に参加している。竣工後も環境研究者との共同研究により環境数値（エネルギー消費、温湿度等）を常時計測している。まさに手作り感のある現代の環境実験住宅である。