鹿児島市郊外の小高い丘に建つ二階建ての住宅。この地域で厄介者となっている桜島の降灰―シラスを成型加工、ブロック化して住宅の壁を容創っている。成型時の圧縮や材料組成を変えて、高密で耐水性・耐火性に優れるブロックを外装用に、調湿・蓄熱に優れるとされるブロックを内装用にと使い分けている点がユニークである。
　また、組積の仕方によって採光や通風のための開口部を設け、風道を考えた吹き抜け空間と相まって、内外の空間に表情豊かな変化を与えている。大きな室内の熱容量が室温変動を抑えている安定した室温形成に貢献していることが実測によっても示されている。加えて、自然との交感を楽しむ居住者の生活ぶりは、「地産地消」というこの作品の魅力を更に引き出している。