JIA環境建築賞

一般建築部門 優秀賞

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福島白河データセンター

福島白河データセンター
撮影:FOTOTECA
福島白河データセンター
撮影:FOTOTECA
 
設計者: 岩橋 祐之(株式会社 日本設計)
山本 篤子(株式会社 日本設計)
栩木 学(株式会社 日本設計)
建築主: ヤフー株式会社
施工者: 清水建設、新菱冷熱工業、きんでん、川崎重工、千代田三菱電機機器販売
講評:

 クラウドコンピューティングの増大と共に増え続けるデータセンターは、AI、Iot、フィンテック等、産業革命以来といわれるイノベーションを支える重要な社会インフラであるがそのすさまじいエネルギー消費は環境問題化しつつある。
 東北新幹線、新白河駅の北西に位置する「福島白河第一データセンター」は、6つのmode制御により外気や地下水を取込み、建物内部で発生する熱を再利用して室内環境を最適化し、一般事務所の20倍といわれるエネルギー消費の半減を実現している。建物は中央に管理棟、その両翼にIT機器を格納するサーバー棟が2棟配され運用されている。6棟まで増設可能なこの施設は、厳しい経済原理と内外条件の集積の結果、左右対称の外構を持つに至る。細胞の発する熱で体温を保つように、サーバーの排熱を活用し、何も造らず営まず、ただ最適な内部環境を維持する様は、何か新種の生物のようでもある。そして機械システムの最適環境が人間に近いこと、人間と同様に機械への環境配慮も重要という、環境建築の概念を拡張する新しい視点を提起した、IT時代にふさわしい作品である。

  (栗林賢次)