JIA環境建築賞

第13回環境建築賞 総評

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 JIAが他の建築関連4団体とともに、「地球環境・建築憲章」を制定したのは2000年6月、長寿命、自然共生、省エネルギー、省資源・循環、継承を具体化する活動が始まり、この環境建築賞も一定の役割を果たしてきた。
 地球環境の視点から建築を評価するLEEDやCASBEEといった評価システムが開発・制度化され、建築に携わる人々の資源やエネルギーに対する意識を啓発してきた。 一方で、環境建築には、このような評価のほかにも多様な評価があるとも考えられるようになってきた。環境に対する配慮は、確実に建築を変えつつあるように思われる。新しい自然観や身体感覚に基づいた建築が出現し始めている。これは、際限のないエネルギーと資源の供給を前提として出現した20世紀の都市・建築の根本的な転換となり、建築と自然との関係を再構築する端緒となることを予感させる。3.11はこのような認識を一層強めるものであった。
 14回目を迎えた今回の応募は、44点の多くを数えた。環境行動ラボが作成したチェックシートをも参照しながら、一般建築部門、住宅部門それぞれ6点を選出し、11月のJIA大会の会場での公開プレゼンテーションを経て、賞の選定を行った。
 優秀賞の録ミュージアムは、建築と環境の新しい関わり方の提案が評価された。建物の形の生成の大きな要因となった樹木の成長は、広義の環境と同様、予測不能なところがあるが、そのような不安定な関係がもたらす緊張感とともに、人間の身体に即した空間構成が新鮮で魅力的だった。入賞作品は総じて、異なった地域の条件や敷地の条件を深く読み、既存の要素技術の集合にとどまらぬ新しい提案が印象的であった。建物の省エネルギーの達成は高性能の建材や設備システムの進歩と「いたちごっこ」の関係でもあるが、これらに過剰に依存し、使い方を読み誤ると逆効果にもなることを感じさせられた。また、ユーザーの住まい方によって大きく左右されることもあらためて感じさせられた。
 これまで環境建築の普及促進の意味もあって応募の門戸は広く開かれていたが、次回からは、審査関係者の応募が禁じられることになった。一つの転機となるが、それだけ応募作品のレベルが充実した表れでもあろう。次回も多くの応募を期待したい

審査委員長 小玉 祐一郎