JIA環境建築賞

第11回環境建築賞 総評

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今回の環境建築賞には22点の応募があった。ポートフォリオでの審査で住宅5点、一般建築5点を選定した。その後現地審査を重ね審査員全員の表決により優秀賞等を選定、これを審査員の一致した総意とした。
 今回の特徴は応募が「環境建築」の広い領域にまたがるものであったことといえよう。特に工場建築の 応募は本賞が設定されて初めてのことであり、その成果も極めて注目されるべきものであった。このことを喜びたい。これを前例には無い「特別賞」とした。また住宅作品から最優秀賞の選出を見たことも喜び たい。
 環境と建築を繋ぐことがおおきな社会的課題であることはいうまでも無い。建築を新たに作ることだけが必ずしもこの課題では無い。これまで作られてきた建築の環境を主題とする「改修=再生」の重要性がますます大切になるにちがいない。中学校の改修事例が昨年に続き選定されたが、様々な建築にこの試みが敷衍することを期待したい。北陸に出向いた折、補助金を利用し改修により事務所建築の光熱水費を70パーセント削減したという事例を聞いた。こうしたプロジェクトがごく一般的なこととなることが求められる。JIA環境建築賞の役割もそこにある。

審査委員長 野沢 正光