第10回環境建築賞


 総評 審査委員長 野沢 正光
 

今回の第十回JIA環境建築賞には住宅6点、一般建築19点の応募がありそれぞれに特徴あるものであった。ポートフォリオで之選定により残った作品は二名以上の審査委員が現地審査を行い、今年から執り行われたJIA大会での公開発表会を経て審査委員による会議により優秀、最優秀を決した。今回の特徴として審査委員の中で「改修事例に注目すべき佳作がある」との声がたかったことがあげられよう。
松田平田設計本社ビル リノベーション 碧南市藤井達吉現代美術館がそうした例である。このことは今後の私たちの仕事のありようを示唆しているのかもしれない。作品ごとの審査委員による講評に触れられているかと思うが、改修事例の手法についての議論は審査委員の中の議論としても面白かった。時間を経た建築がまったく新築のように変貌すること、そうではない手法があるのではないか、という提起である。言うまでも無く新築のために用意された敷地であれ、改修を待つ建築であれそこにはそこだけの個性がある。其の尊重がここだけの建築の解になることは容易に理解されよう。コンバージョン、リノベーション事例のより豊かな答えの登場を期待したい。