JIA環境建築賞


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一般建築部門  最優秀賞
瀬戸愛知県館/あいち海上の森センター


 
設計者: (株)第一工房
建築主:
愛知県
施工者:
(株)杉本組(博覧会時施工)
(株)竹中工務店名古屋支店(撤去改修時施工)
講評: 愛地球博のパビリオンである。私は会期中博覧会会場には行かなかったが、海上の森での博覧会開催が様々な問題を起こし、局面ごとに様々に報道されたことを記憶している。そうした困難のなか愛知県舘が仮設のパビリオンとして様々な問題をむしろ糧として計画され、ビジターセンターとしての第二の姿をも内包していたことに驚いた。多くの自発の市民の調査に基づく自然環境の情報は積極的に設計の資料とされ地下水ルートの保全など様々に活用、パビリオン部分の主要な資材は木材組合からのリースとしその後の木造小学校建設の資材としていることなど、今まで博覧会建築がテーマとしていなかったところを見事に丁寧に主題としている。隣接に存在した政府館跡地にはコンクリートの無骨で巨大な擁壁が放置されている。といってこれを壊せばまた多くのCO2が発生するだろう。仮設が無用の工作物をさらしている無残を見ながら、多彩な知恵を動員し計画を楽しんだこの建築の意義を思った。
  (野沢正光)