※ 写真・文章等の転載はご遠慮ください。 一般建築部門　　優秀賞 大東文化大学板橋キャンパス 　 所在地： 東京都板橋区 設計者： 中村　勉　　中村勉総合計画事務所 　 山本圭介　 山本・堀アーキテクツ 　 堀　啓二　　山本・堀アーキテクツ 建築主： 学校法人　大東文化学園 施工者： 株式会社　大林組　東京本社 講評： この建物が実現している伸びやかで多様な空間は、大学は、授業・研究というアクティビティだけに最適化されるべきものではなく、さまざまな人々の活動の場になりうるべきであるということを教えてくれている。明確なダイアグラムを持ちながらも、よき意味での空間のルースさ、これがこの建築の魅力である。 対照的に、この建築の環境を成立させている手段は、実に緻密で、しかも部分が過剰に主張することなく、アーキテクチャとしてよく統合されている。この「Integrationの見事さ」に敬意を表したい。換言すれば、建築家がスケマティック・プランを作ったうえで、設備設計者に「なんとかしてくれ」というようなプロセスからは決して生まれない建築である。 機械的な環境調整に依存しない半戸外のパブリックスペースは確かに省エネルギーの効果をあるが、なんといってもコミュニケーションを生み出す心地のいいスペースであるなど、その「Integrationの見事さ」が随所に満ちあふれている。それは空間のイノベーションといってもよい。「近代化における縦割り専門家社会の枠を革命的に超えて、横断的な方法論が環境建築には求められている」という設計者のお考えを見事に体現している傑作である。 　 （野城　智也）