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一般建築部門 優秀作品 |
CO2:常陸太田市総合福祉会館 |
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所在地: |
茨城県常陸太田市稲木町 |
設 計: |
石井和紘 (株)石井和紘建築研究所 |
建築主: |
常陸太田市長 |
施 工: |
鹿島・武藤特定建設工事共同企業体 |
講評: |
訪れる人々が自然と健康になってゆくに違いないと確信させる建築である。デイケアセンターと保健所の複合施設は、リハビリテーション用の歩廊を兼ねた周遊回廊で有機的に連結されている。屋外に居るかのように錯覚する明るく開放的な周遊回廊は、軽やかな白いテント屋根で覆われ、同じくテントで覆われた玄関庇と併せて、空から見下ろすと、ちょうど「CO2」に見える平面計画となっている。建物を訪れただけでは気が付かない。設計者が意図した通り、飛行機の乗客にCO2削減の重要性を訴える「ナスカの地上絵」のようだ。その周遊回廊のテント屋根は137本の皮付きの丸太によって支えられている。常陸太田市内で育った種々雑多な樹種の丸太1本1本に、樹種名、推定樹齢、町名などを記したプレートが取り付けられている。ここに訪れるお年寄りが生まれた頃、あるいは生まれる前から育ってきた身近な樹木に皆が愛着を覚えるのも頷ける。
講評にあたって敢えて付け加えるならば、エネルギー消費量は同種の建物に比べて少ないとは言えず、建築環境計画にもう少しの工夫を期待したかった。また、現地審査は猛暑の8月18日であった。冷房していても室温は30℃を超えていたであろうテント屋根の周遊回廊空間を暑く感じさせない建築空間の造り方に学ぶべきことが多い。
(伊香賀俊治) |
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