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一般建築部門 優秀作品 |
国立国会図書館関西館 |
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所在地: |
京都府相良郡精華町 |
設 計: |
陶器二三雄 陶器二三雄建築研究所 |
建築主: |
国土交通省 近畿地方整備局 |
施 工: |
竹中・住友・五洋特定建設工事共同企業体 |
講評: |
見事な精度の建築である。これほど精緻な建築は設計、施工を通し緊張して作業に当たることなしには成立しない。構成する部材、ディテールのあらゆる箇所が注意深く熟考されている。そして施工段階でも綿密な計画が練られ、廃棄物の削減など、今日的課題をポジティブな主題として合理的に解くことがなされたと聞く。ここでの精緻は決して工芸的ではなくまったく建築的に達成されている。
空間は内外どこもすばらしい。なかでも屋上の緑化、それも閲覧室上部の斜面緑化が自走の芝刈機械によって見事に管理され、そののこぎり形状が閲覧室の稀に見る美しい天井の正直な反映であるところ、そして二つの棟の間に作られた雑木林が特に印象的である。
建築主の要求からか、施設が社会に対し、やや閉じた印象があることは計画時が10年ほど以前であるからだろうか。パリの図書館のデッキが極めて開放的であることを思い出しそう考えた。
付言すれば、施設の主要な部分が地下に埋設され、地表部もダブルスキンによっている。そのわりに運用のエネルギー使用量が大きいのは書庫という特殊な施設の故であろう。しかし、委員の中にそれであってもいかにも多すぎるとの指摘があった。運用の工夫の余地はないのであろうか。
(野沢正光) |
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