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住宅部門 入賞 |
大子の民家 |
PHOTO:宮本 隆司
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所在地: |
茨城県久慈郡大子町 |
設 計: |
株式会社 藍設計室 鯨井 勇 |
建築主: |
藤田 宇一郎 |
施 工: |
岡建ホームサービス株式会社 |
講評: |
大子の民家は、茨城県の北部でリンゴ園を営む農家の母屋である。この家を訪れて感じたことは、築100年をこえる民家をまもり、それを使い続けたいと考える家族の熱い思いに応えた建築家の努力の尊さについてである。改修(1993年)後、すでに10年にわたって交流が続いている。
戦後、多くの農家がそうであったように、この家も土間から"いろり"が消えて、台所の合理化や私室化がされていた。この家の再生に向けた設計者の仕事は、土間を原型にもどし、家全体を目立たぬような配慮で居住性を高めることだったように思われる。里山やリンゴ園から得られる薪を燃料とした温水による床暖房を土間に施し、断熱性、機密性に劣る開口部の改良などに工夫がみられた。
地域を問わず、民家には多くの智恵や技が集積されている。再生された民家の評価で難しいのは、本来、持っていた民家の価値に再生によって設計者が何を付加して高めたかということである。これまでも環境建築賞として、古民家再生による入賞作品があったが、いずれも単なる改修ではなく、設計者の創意がみられ、古民家のもつ固有の価値を一層高めていた。大子の民家にも同様なことがいえるが、この場合、家族と建築家との再生への思いが一体となり、改修のプロセスをへて、一層深まっていったことを察することができ、建築することの大切な一面として評価された。
(林 昭男) |
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