JIA環境建築賞

■ 総 評   審査委員長 林昭男
 JIA環境建築賞も第3回を迎え、この賞の性格が次第に明確となってきたように思われる。今回は、前回と較べて応募数が多く、一般建築部門17点、住宅部門11点だった。それらの作品には、いづれも設計者それぞれの環境建築への思いが表出されていた。簡潔にいえば「長寿命化」・「省資源」・「省エネルギー」・「継承」そして「再生」などいづれも環境建築として欠かせぬ要件を、それぞれ異なる設計の予件のなかで受け止め、きわめて多用な展開がなされていた。
応募作品の質は高まり、多様化している。そのなかで組織事務所の作品は、殆どが「グリーン庁舎計画指針」によって考えられており、環境建築が一つの標準的な方向に向っていることを示していた。しかし、一方で環境建築は単に「環境への負荷を努めて少なく」というだけでなく、景観や地域の暮らしのあり方にも関与し、建築によって文化的価値を高めて行く働きこそ重要視せねばならない。
 今回の審査を通じていえることは、環境建築には多用なかたちがあり、またさまざまプロセスがあるということを改めて認識させられた。それらのなかで、最優秀賞、優秀賞として選ばれた作品は、環境建築としてもつべき要件が他よりも多く、しかもそれらを独自性をもって巧みに統合化しており、設計・施工・維持管理に破綻がなく、高い水準に達していることが評価された。入賞作品のなかには、環境建築のこれからのあり方について、示唆に富む提案が多くみられたことが、強く印象に残った。