JIA 25年賞・JIA 25年建築

第18回JIA25年賞 総評

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 今回の25年賞は、1968年竣工の白樺湖夏の家、1968年竣工の霞が関ビル、1988年竣工の小国町民体育館「小国ドーム」、1992年竣工のIDIC岩手暖房インフォメーションセンター、1992年竣工の水戸市立西部図書館の5作品である。
 5作品のうち、2作品は竣工後50年を経ており、いわば25年賞×2と呼んでもよいような長寿命建築である。もちろん、その間の世の中の移り変わりや建物の物理的な条件、所有者や使い手の側の条件の変化によって、その時々に改修され手を加えられて現在に至っている。
 1968年竣工の白樺湖夏の家は、大学建築学科のOBたちにより長年使われ受け継がれ愛されてきた建築であり、巧みな減築と改修により現在に生き延びたものである。元の建物が半分になった形ではあるものの、当初の設計意図に十分な敬意が払われて、建築や空間の特徴がしっかりと保存され、今後も活発に使われ続けていくものと思われる。
]  同じく、1968年竣工の霞が関ビルは、その後三度にわたり大規模な改修が重ねられ、そのたびに最新の大型オフィスとしての機能更新に成功してきた。建築単体としてばかりでなく周辺の大型再開発と協調した屋外公共空間の整備も含めて、
街並みの核としての風格をますます増しているものと観察される。
 25年賞の対象ではあるが、その2倍の年月である50年の歳月の中で、上記2作品においては、当初の建物の骨格・外装や基本構成、そして設計の基本思想は明白に維持継続しつつ、時代の状況の変化の中で、より強く生き延びるように様々な手を講じて、現在という時に確実に適合させる努力を行っていることが顕著にみられる。
 それらの創意や工夫を手法として学ぶことはもちろん大切なことであるが、あわせて、元となる当初の建築の構成と思想の質としての骨太さこそ、学ばねばならないものと考えられる。使い続けられる建築、保存再生できる建築の必要条件は当初の設計の中にある。設計者ばかりでなく、発注者の思想、そして発注者と設計者の設計段階での思想の交流の成果の中にこそあるのでないだろうか。
 他の3作品はおおむね25年少し経った段階での応募であり、日本経済のバブル期の作品である。いずれも、日常の管理運営が過不足なく行われているようだ。当初の発注者や設計者の意図どおりに使われていて、空間・素材・環境・デザインなど強いメッセージ性を今も維持し続けている。

六鹿 正治