日本建築家協会(JIA)は建築家が集う公益社団法人です。
豊かな暮らし、価値ある環境、美しい国をデザインします。
JIAでは、すぐれた建築作品を顕彰し、建築文化のすばらしさや価値を社会に発信しています。
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総評
JIA環境建築賞では、これまでテーマを絞らず広く作品の応募を募り、環境の時代における建築デザインとは何なのかということが幅広く議論されてきましたが、時代と共に環境建築の定義も変化していく中で、少し焦点を絞った議論をした方が良いのではないかという考えから、第25回を迎える今回は、「循環」というサブテーマを設け、循環を通した地球環境への思想が建築デザインとして昇華されているものを広く求めることとなり、昨年度を上回る全国から全26作品の応募が寄せられました。 9月17日にJIA館にて審査員全員が集まり、一次審査として、書類による選考が行われました。ここではサブテーマに沿った厳正な審議が行われ、現地審査に行く6作品が選ばれました。10−12月の間で、審査員2名ずつに分かれ、現地に赴き、直接見学し審査が行われました。 1月23日に、JIA館にて、二次審査として各6作品からプレゼンテーションを行なっていただき、各審査員からの質疑や議論を尽くした上で、最終的には各審査員による投票を行い、最優秀にあたるJIA環境建築大賞1点、優秀賞3点、入賞2点を選定しました。 大賞となった株式会社竹中工務店の「歳吉屋-BYAKU Narai-」は、この「循環」のテーマに対して我々に大きなメッセージを投げかけてくれた作品でした。日本を代表する大企業が地域の木材循環問題に対して真摯に取り組み、それを考える中で地方都市の宿場町にコミットしながら、そこの古い街並みや建物群という資源に着目し、本作品を含む複数の拠点をリノベーションしていくという取り組みは、出来上がった建築の設計の質はもちろんのこと、建築設計者が街全体に関わっていく、一つの持続可能モデルとしても大変優れたものだったと思います。 今回の賞の審査にあたっては、この「循環」というテーマを決めることと合わせて、この環境建築賞を通してJIAとして社会に伝えるべきメッセージを添えたいと考え、二次審査の最後に、シンポジウムという形で審査員6人+受賞者で議論をしました。その中で見えてきたのが、建築において「循環」を考える上で、3つの階層で考えることが重要だということでした。一つは、「カーボン」。これはいわゆるこれまでも議論されてきたモノとしての建築のデザインや性能、それを実現する技術の重要性。2つ目が「QOL」。これは、モノだけでなくそれを使う人や活動や仕組みなど、つまりコトのデザインの重要性。そして3つ目が「バイオダイバーシティ」つまり、地域の基盤となる資源やネットワークへの接続の重要性。これら3つの階層を様々な形で組み合わせながら考えて設計していくことがポイントとなるということでした。そして、これらの実現には、これまで以上により高度で広範な技術が必要になってくるわけですが、それが全て建築を「開いていく」ための技術であることが、次なる環境建築や持続可能な社会の実現、建築家の職能のあり方につながっていくということが見えた気がします。 今回の審査に携わった審査員の総意としてこの学びを添える形で、今回のJIA環境建築賞の総評としたいと思います。
第25回JIA環境建築賞審査委員長 末光弘和
第25回 2024年度 JIA 環境建築賞
JIA環境建築賞では、これまでテーマを絞らず広く作品の応募を募り、環境の時代における建築デザインとは何なのかということが幅広く議論されてきましたが、時代と共に環境建築の定義も変化していく中で、少し焦点を絞った議論をした方が良いのではないかという考えから、第25回を迎える今回は、「循環」というサブテーマを設け、循環を通した地球環境への思想が建築デザインとして昇華されているものを広く求めることとなり、昨年度を上回る全国から全26作品の応募が寄せられました。
9月17日にJIA館にて審査員全員が集まり、一次審査として、書類による選考が行われました。ここではサブテーマに沿った厳正な審議が行われ、現地審査に行く6作品が選ばれました。10−12月の間で、審査員2名ずつに分かれ、現地に赴き、直接見学し審査が行われました。
1月23日に、JIA館にて、二次審査として各6作品からプレゼンテーションを行なっていただき、各審査員からの質疑や議論を尽くした上で、最終的には各審査員による投票を行い、最優秀にあたるJIA環境建築大賞1点、優秀賞3点、入賞2点を選定しました。
大賞となった株式会社竹中工務店の「歳吉屋-BYAKU Narai-」は、この「循環」のテーマに対して我々に大きなメッセージを投げかけてくれた作品でした。日本を代表する大企業が地域の木材循環問題に対して真摯に取り組み、それを考える中で地方都市の宿場町にコミットしながら、そこの古い街並みや建物群という資源に着目し、本作品を含む複数の拠点をリノベーションしていくという取り組みは、出来上がった建築の設計の質はもちろんのこと、建築設計者が街全体に関わっていく、一つの持続可能モデルとしても大変優れたものだったと思います。
今回の賞の審査にあたっては、この「循環」というテーマを決めることと合わせて、この環境建築賞を通してJIAとして社会に伝えるべきメッセージを添えたいと考え、二次審査の最後に、シンポジウムという形で審査員6人+受賞者で議論をしました。その中で見えてきたのが、建築において「循環」を考える上で、3つの階層で考えることが重要だということでした。一つは、「カーボン」。これはいわゆるこれまでも議論されてきたモノとしての建築のデザインや性能、それを実現する技術の重要性。2つ目が「QOL」。これは、モノだけでなくそれを使う人や活動や仕組みなど、つまりコトのデザインの重要性。そして3つ目が「バイオダイバーシティ」つまり、地域の基盤となる資源やネットワークへの接続の重要性。これら3つの階層を様々な形で組み合わせながら考えて設計していくことがポイントとなるということでした。そして、これらの実現には、これまで以上により高度で広範な技術が必要になってくるわけですが、それが全て建築を「開いていく」ための技術であることが、次なる環境建築や持続可能な社会の実現、建築家の職能のあり方につながっていくということが見えた気がします。
今回の審査に携わった審査員の総意としてこの学びを添える形で、今回のJIA環境建築賞の総評としたいと思います。
第25回JIA環境建築賞審査委員長 末光弘和