JIA 環境建築賞
入選作品
昭和学院小学校ウエスト館
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大庭 拓也(株式会社日建設計)
砂田 哲正(株式会社日建設計)
松丸 真佑美(株式会社日建設計)
学校法人昭和学院
大成建設株式会社 千葉支店
2021年
千葉県市川市
徹底的にCLTのみで創り切る、木造の新たな可能性を大きく切り拓いた小さな学校建築である。学園から求められた法規、工期、コスト、について一つ一つが大きな壁であったと思うが、特筆すべきは構造的検証と施工的な検証である。木材の不安定性や不確実性について、一つ一つ解答に至るまでには根気のあるディテールの開発や施工実験がこの建築を成立させている。木造にすると一般的にまだコストがかかるが、ターゲットに収めているところも評価すべきところである。技術がまだまだ過渡期の木造建築は、技術公開によって広く使われていかないといけない。建築も大変素晴らしいが、環境建築として最大評価したいのは企業を超えて「Nikken Wood Lab-つな木」として、技術をオープンにしてつながっていこうという姿勢そのものである。その様な社会や組織にならないと(特許で縛るのではなく)コストの問題解決や木造の可能性は一般化しないのだなと思った建築である。そして何より大切な結果は、学校に通う小学生が元気になり(風邪を引かなくなったとか)喜んでいることを設計者が一番喜んでいることである。
小堀哲夫