当施設は、全額寄付によって創られた持続可能性を追求したエコ・コンパクトなサッカースタジアムである。屋根免震と斜めにかけた3Dトラス、スタンド、基礎梁、基礎のフーチングまで、部材部品の規格化・標準化を推進、徹底したPC化を行い、短工期・低コストと高品質建築の両立を実現させている。無駄のない直線で構成された低いフラットな屋根は、観客席全体を雨から守りつつ、芝生への最大限の日照確保を模索した形態であり、観客席断面は、最下部・中間部・頂部に通風や採光の機能を巧みに組み込んでいる。LEDピッチ照明や配電システムの分散化、雨水利用といった施設用途に適した省エネ手法の採用、防災拠点としての機能も担っている。省CO2建築という命題に設計施工と一貫して、最適解を示したベストプラクティスである。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（柳井 崇）