JIA 環境建築賞
優秀賞
一般建築部門株式会社日本の窓 十和田工場
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津田 大二郎(株式会社 東京組)
株式会社 東京組
紺野建設株式会社
2017年
田園の中にポツンと佇む木造の建物は木製サッシを製造する「日本の窓」。ここは同社社長の出身地である青森に建設された。外観からは工場とは思えないが、柱間に横目板が美しく周辺環境にこだわったデザインだ。もともと牧場であった敷地は地域と働く人の癒しになるように林に囲まれた雰囲気の仕事場にしたいという思いがある。
工場は50m正方で、すべての木材は地元東北産の杉材を使用し10mスパンで丸太4本組の十字形の柱とトラス梁で空間を構成している。メンテナンスが必要な箇所もあるが内・外部の細部までを割り切ったディテールで一貫し、非常にバランスがよい建築が完成している。壁断熱が薄いように感じるが、床スラブが内に埋設した放射式冷暖房は快適性を保持する。隣地はグループ会社が所有するソーラー発電所であることや、自社が出す廃材で製造するウッドブリックをこの工場に利用するなどで、よりエネルギーの有効活用も可能だろう。しかし、地域共生に取り組み、デザイン的にも美しい働く環境はCO2削減につながる木造建築を高く評価し優秀賞の結果となった。
(彦根 アンドレア)