隣家にあたる建て主の両親の家に似せた外観で通りの景観に気持ちいい一体感を作り出した。車庫にシャッターを設けていないことでも周辺環境との調和がとれている。家の前に植えた木や、家から漏れる明かりで道路を明るくするなどの工夫も意匠性だけでない近隣への配慮と共棲を意識しており評価に値する。ディテールは細部まで気を抜くことなくデザインされており、空間が美しくも心地よい。このような30坪前後の住宅づくりの良いサンプルといえるだろう。
　貫構造をモチーフにした構法を用いながら伝統工法の土壁と外断熱を施すなど新たな挑戦を行い、住み心地を担保している点も住宅としての価値を上げている。また構造から浴槽まですべて地元高知産にこだわり選定し、地元の伝統伎をサポートするという文化的地域的な意識の高い仕上がりを実現している。様々な環境的な取り組みを取り入れ、伝統と地域を重んじ、双方を成立させながらも美しい建築になっていると言える。我々はこのNuki-houseの取り組みを高く評価し優秀賞を贈る。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（彦根 アンドレア）