公園の立体的範囲を定めることが可能な「立体都市公園制度」を適用した、区有地の有効活用と都市公園のリニューアルを同時に実現したプロジェクトである。約330mの長さの商業施設は約7割はオープンエアなアウトモールであり、建築は土木的な表情を持たせ、恣意的な装飾やデザインを排除することで空間のフレキシビリティを高めたことが、結果的にエンボディドカーボンの低減につながっている。官民にまたがる複数のステークホルダーとの調整に多くの労を費やしたことが想像される。本プロジェクトの主目的である公共空間としての屋上庭園には年月を経て植物が成長し、徐々にまちのインフラとしての認知が高まることで、多くの人が訪れる心地の良い都会のオアシスが形成されることを期待する。

（永積紀子）