風が通り、柔らかい光を感じながら過ごせる空間こそが療養できる場所との発注者の信念に基づき、天竜葉枯らしによる自然乾燥材の利点を生かした木造軸組平屋の診療所である。また、病児保育部門も併設し敷地は近隣の幼稚園児に開放することで地域コミュニティの一役も担う。
診療室は高天井とし、欄間を開放できるつくりにより自然通風での緩やかな空気を感じられる空間となっており、またハイサイドライトからの柔らかい光もふり注ぐ。待合室は全面ガラスに庇とゼブラ状の横ルーバーを設置し、またベンチ背面からのスリット吹出空調を加えている。森の広間全景パノラマビューと採光を確保しながら不快な直達日射や外皮負荷を抑える空間づくりとなっている。
発注者と協調した高い次元での自然調和施設としてJIA環境建築賞の優秀賞に値する。

（村田 博道）