淡路島の海岸沿い高台に建つ住宅である。断熱性能を高めて室内環境を安定化させ、かつ日射制御のために地場産の瓦を用いたファサードで二重屋根的に建物を覆っている。室内環境だけでなく、屋外空間も含めた快適性を作り込んでおり、この土地ならではの環境住宅の在り方を提示している。瓦のデザインを夏と冬の太陽の軌道と日射制御から導き出しているのがとても現代的である。東側に大きく開口を取ったことで、眺望と共に風通しが得られており、夏は冷房がほとんど不要だという。設備は地熱ヒートポンプでの暖房に加え、プールの蓄熱容量を活かした給湯を行うという面白い試みも見られる。計算だけでなく運用上でもしっかりとZEHを達成しており、優秀賞にふさわしい力作である。

（菅 健太郎）