560坪の植木圃場として土地を先代から所有し、環境・緑化事業を行う会社の経営者がオーナーであり、LEED for Homesのプラチナ認証を取得するなど環境に対するオーナーの姿勢がまず素晴らしい。自身の住宅棟、賃貸住宅棟、レストラン棟の３棟で構成される。古いケヤキを残したガーデンは塀を設置せず地域に解放され、時折一般市民が敷地内を散歩するという。
住宅棟は、住戸平面の全周に構造と設備ダクト、換気用スリットを兼ねた縦シャフトの提案は裏のない建築における新しいアイデアである。電気自動車とEVチャージャーでのBCP用充電／蓄電設備、瓦一体型のPV屋根、スイッチコンセント類の丁寧な納まり等、総じてプロジェクト全体に細やかな配慮が散りばめられている高品質な空間が高く評価された。

（安田 幸一）