JIA 環境建築賞
JIA 環境大賞
一宮のノコギリ屋根
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川島 範久(川島範久建築設計事務所)
筧 章吾
松原建築商事
一宮を訪れるとノコギリ屋根の風景が多くあるが、この昔からある織物工場の屋根並みは、均質な光環境を求める工場のために最適化された形式である。本作品は、地域が時間の中で培ってきた知見を、現代建築に読み替え、デザインに昇華したものである。実際は、工場は北向きに開き、安定した光環境を求めたのに対して、この住宅では、南向きに開き、日射による熱環境を制御することを目的としており、結果、開放感のある住宅が、高い躯体性能と同時に実現されている。「温故知新」、ただ真似するのではなく、まさに古きを学び、新しさに昇華した快作である。このような考え方が、環境建築の更なる発展を導く可能性においても、第1回JIA環境大賞にふさわしい作品である。
(末光 弘和)