垂井町は町役場を新築することではなく、町内にある商業施設（スーパー）を購入し、それを町役場にコンバージョンする計画を立てました。耐震性を高めるためのRC造のアウトフレームが日射遮蔽の効果を持ちながら、新築のようで、役場らしい印象を与えています。
室内は、自然光・換気のための４箇所の環境井戸によって、気持ちの良い空間を作り上げています。シンプルで美しいディテールで、地域産の木材も豊富に使われています。
日本各地で市町村の庁舎の新築が行われていますが、スクラップ・アンド・ビルドとせずに町自身が再生に取り組んで完成させた手法は、今後の公共施設整備のあり方を示しています。持続可能性の社会づくりが求められているなかで、このとても前向きな作品は、優秀賞に大変相応しいです。

（彦根 アンドレア）